アートが好きでごめんなさい

主にアートイベントへ行ったときの記事を書いているブログです

平塚市美術館にて「金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋」が開催ちう


金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋

金魚絵師 深堀隆介とは

深堀隆介さんは、透明樹脂にアクリル絵具で金魚を描くという独自の斬新な手法で注目を集める現代美術家です。

1973年に名古屋市に生まれ、現在は横浜市に在住。

1995年に愛知県立芸術大学を卒業した深堀さんは、名古屋の会社にデザイナーとして勤務しますが、1999年に退職し本格的に創作活動を開始、絵画と立体を並行して様々な作品を制作します。

しかし、次第に自分が何をすべきかを悩み、「もう美術なんてやめてしまおう」と思っていたとき、自室で飼っていた金魚の水槽が目にとまります。

ちゃんと世話をしていなかったため水は汚れていましたが、水槽の蓋を開けて中を覗いてみると妖しく光る金魚の背中が美しく見え、これだと思った深堀さんは試行錯誤しながらもずっと金魚を描き続け現在に至ります。

深堀さんは、夏祭りですくってきた金魚に救われたこの出来事を「金魚救い」と呼んで大切にしているそうです。

公立美術館での大規模展は今回が初めて

平塚市美術館では、企画展「金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋」を、2018年7月7日から9月2日まで開催。深堀さんにとって、公立美術館で初めての大規模で本格的な個展となります。

平塚美術館では、2016年の企画展で深堀さんの作品を紹介した縁もあり、今回の企画が実現したそうです。

なお、平成30年9月15日(土)からは、愛知県の刈谷市美術館にも巡回しますよ!

金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋|刈谷市|刈谷市美術館

7月7日のライブペインティング作品
▲展覧会の会場は2階ですが、1階の廊下で深堀さんの絵画作品が展示されていました。
展覧会初日の7月7日に披露されたライブペインティングの作品だそうです。透明樹脂に描かれた金魚の作品しか知らなかったので、深堀さんの絵画の作品はここで初めて見ました。

それにしても閉館の2時間程前に到着したのですが、結構混雑していました。

<2018.08.24 更新>
入場者数が4万人を突破したそうです!!

初期の作品から新作まで、代表作200点が一挙に公開

なんといっても、本展で初公開される新作のインスタレーション「平成しんちう屋」が最大の見どころではありますが、会場では学生時代の作品から最新作まで、深堀金魚の進化の工程を見ることができます。

そもそも「しんちう屋」とは?

今回の展覧会のタイトルにもなっている「しんちう屋」

江戸時代に上野の不忍池にあった日本で最初の金魚屋の名前なんだそうです。当時、江戸では金魚がブームになっており、金魚屋が多く存在していたそうですが「しんちう屋」はその中でも大きな金魚屋だったそうです。

独特の世界が生み出された「平成しんちう屋」

会場の最後のエリア、出口付近に展示されているのが今回初公開となる新作インスタレーションの「平成しんちう屋」です。

展示室内は撮影禁止ですが、一番の見どころである「平成しんちう屋」は写真撮影が可能です(動画は不可)

新作「平成しんちう屋」

新作「平成しんちう屋」

▲「平成しんちう屋」は、日本の金魚の競りや香港にある金魚街からインスピレーションを受け、作品が構成されています。唯一の撮影可能エリアとあって結構な人で賑わっていて、まるでお祭りのような雰囲気になっていました。

カンコ
▲金魚の競りで使用されるカンコと呼ばれる木箱

袋詰の金魚
▲袋詰された金魚を想像させるものが並んでいます

魚種差別反対

様々な種類の金魚たち
▲この袋詰めの作品、一つ一つ見ていくと色々なものが描かれているため、思わず食い入るように見てしまいます

桶と網

波紋もリアル
▲この波紋とかはどのようにして作っているんでしょかね

金魚のフン
▲金魚のフンまでリアルに再現されています

水の音が聞こえてきそう
▲会場には水の音が流れています。そのため、時間が止まっているようなんだけど今にも動き出しそうな、なんとも不思議な感覚を味わうことができます。

クマの置物

一風変わったクマ
▲顔が金魚のクマなのか、それとも、金魚の体がクマなのか・・・

何かの型
▲撮影不可エリアに「麗虎(うるとら)」というウルトラマンのフィギュアを使った作品があったんですが、そのときに使った型でしょうか

深堀さんはどのように作品を制作しているのか

これは動画で見てもらうのが一番わかりやすいと思います。

まず器の中に樹脂を流し込み、その表面にアクリル絵の具で金魚を少しずつ部分的に描いていき、さらにその上から樹脂を重ねます。その作業を繰り返すことによって平面の絵の層が重なっていき、立体的で生き生きとしたリアルな金魚ができあがるんですね

樹脂が固まって次の層が描けるようになるには2日程かかるそうです。
また、使用している樹脂は寒くなると気泡が入ってしまうため、常にあたたかくしておく必要があるんだとか。

一度樹脂を入れてしまったらやり直しできないし、最後の層で失敗してしまうとそれまでの作業が無駄になってしまうこともあるため、高い集中力と根気が求められる作業ですよね。

金魚酒の作り方

▲今回の深堀隆介展のパンフレットにも金魚酒の制作方法が紹介されています。

金魚酒は過去に販売されたことも

深堀さんの作品、ついつい欲しくなっちゃいました。
代表作である木曽檜枡に金魚を描いたアクリル樹脂作品『金魚酒』が特に欲しいです!

本記事執筆時点で深堀隆介さんの作品は販売されていませんが、『金魚酒』は過去に羽田空港 ディスカバリー・ミュージアム内国立新美術館B1のミュージアムショップで販売されていたことがあるようです。

ちなみに某オークションサイトを見てみたら初期の作品が90万円から出品されていました。。

すでに作品を手にした方、羨ましいっす!いつかまた販売されるんでしょうが、そんなにたくさんの数は作れないのですぐに完売してしまうでしょうね

半分に割った竹の作品「香具夜(かぐや)」も。和室に飾りたいですね

香具夜 命名 はなほころ | WORKS|金魚養画場 美術作家 深堀隆介オフィシャルサイト RIUSUKE FUKAHORI Official site

模倣品が出回っている模様

それだけ作品に価値が出てくると避けて通れないのがコピー品との闘い。
現在、国内外を問わず模倣品が横行しているんだそう。

これには、本人もブログで言及していました。

goldfishing.at.webry.info

goldfishing.at.webry.info

「オリジナルを超えることはまずない」という自信みたいなものを感じましたが、正直、何年もかけて編み出したオリジナル技法が他人にパクられるなんて、悔しいに決まっています。

私としては本物も偽物もどちらも手にする機会はないかもしれませんが、今回の深堀さんの展覧会で本物のクオリティを確認できたのでよかったと思いました。

関連グッズは特設会場にて販売。ただし・・

平塚市美術館テーマホールの特設会場
▲平塚市美術館テーマホールの特設会場では、はがき、木版Tシャツ、手ぬぐい、ポスター、作品集などの関連グッズが販売されています。

ただし、ショップの営業時間は、水曜・土曜・日曜・祝日の10~16時です

ショップは、展覧会を見たあとでゆっくり見ようかと思っていたんですが、展示室の最後の方の作品を見ているときに館内放送の案内で営業時間を知り、どうしたもんかと係の人に聞いてみたら、なんと!一度展示室の外に出ても再入場ができるらしい

ただし、その際には係の方に「再入場カード」をもらってください▼

平塚市美術館の再入場カード
▲用が済んで展示室に戻る際に、このカードと観覧券を提示することで再入場できます。

特設会場の関連グッズですが、金魚だけじゃない未公開の初期作品も含まれている平成しんちう屋の作品集がとても気になりましたが、結局何も買わず・・・

▲でもやっぱり気になって、家に帰ってから無事ポチりましたw

印象に残った作品

一番滞在時間が長かった「平成しんちう屋」はもちろん印象に残った作品ですが、その他にも印象に残った作品がありますので、写真はないですが紹介します。

まずは、展示室に入ってすぐの2つの金魚酒の作品ですね。
「鳴門」という2003年の作品と「彩傘」という2017年の作品が並べて展示してあるんですが、初期の作品は横から見ると平面的というか、層が重なってるんだなーてわかる作品で、最近の作品は不思議と横から見ても立体的に見える作品になっていました。
そこにはひたすら金魚を描き続けて独自の技術を磨いていった深堀さんの努力や制作する姿が想像できます。

「自己像」という作品も印象的でした。自然木を使って人体の骨格を表したもので、肺は酒のビン、その中にタバコの吸い殻が入っていました。時期的に金魚に救われる前なので、何か深堀さんの闇の部分を見てしまった気がしました。

「そう悩むな」「そう怒るな」という作品は、金魚の表情が豊かで人面魚よりも人間っぽい表情が面白かったです。金魚って見ていないときにもしかしたらあんな表情してるのかもなって思いました。

義母の嫁入り道具だった桐のタンスを使った「花嫁さえも」という作品は、ザ・現代アート!って感じの作品でしたね。

花嫁さえも | WORKS|金魚養画場 美術作家 深堀隆介オフィシャルサイト RIUSUKE FUKAHORI Official site

「桃太」「小梅丸」という作品は、さくらももこさんの手作りおちょこを使っており、いきなり意外な人物の名前が出てきたので印象に残っています。

「安土城池」という作品は、プラモデルを使った作品ということは説明を読んで認識していたんですが安土城にある池なのかなーぐらいにしか思わず、あんまり全体をよく見なかったんですよね。小さく描かれたカラフルな金魚にフォーカスしてしまいました。
実は安土城のプラモデルを"逆さ"にした作品だということを後から知りました。横から見れば一発でわかったのに・・なんで気が付かなかったんだろう。

私がもっとも印象に残っているのが、「小さな一歩」という作品です。
東日本大震災の津波で亡くなった南相馬市の上野敬幸氏の2人のお子さん「永吏可」ちゃん(姉・当時9歳)と「倖太郎」くん(弟・当時6歳)の遺品の上履きに描いた作品。

福島の個展会場で上野さんのことを聞いた深堀さんが上野さんに上履きに金魚を描かせて欲しいとお願いしたところ、上野さんは大切な遺品を送ってくれたそうです

永吏可ちゃんの上履きには金魚と桜の花びらが、倖太郎くんの上履きには金魚と花火が描かれていました。小さな上履きの中に広がる世界に胸がギュっとなりました。

深堀さんの作品は2011年頃から圧倒的な立体感に変わっているような気がします。震災を期に何か気持ちの変化があったのでしょうか

深堀隆介さんのイベント

平塚市美術館では、先に紹介した7月7日のライブペインティングイベント以外にも様々な関連イベントが行われているみたいです。

深堀俊介展関連イベント
▲イベントのほとんどは終了してしまいましたが、8月11日(土・祝)の作家による作品解説ツアーは参加したかったですね。深堀さんが一緒に展示室をまわって作品の解説をしてくれるなんて、参加された方羨ましいです!

展示室の出口のところに、関連イベント「みんなで選ぼうお気に入りの作品!!~ひらつか子ども審査員賞~」の結果が発表されていました。

1位の平成しんちう屋
▲1位はやっぱり「平成しんちう屋」

2位は「須磨」と「雫」
▲2位は「須磨」と「雫」です。しっかし傘の骨の狭い隙間からどうやって描いたんですかね。

3位は「金魚酒 命名 彩傘」
▲3位は金魚酒「彩傘」でした。もみじの質感が半端ないです

さいごに

作品のリアルさは写真や映像の方が伝わるのかもしれませんが、作品の凄さは実際に会場に行かないとわからないと思います。

学生時代の作品から最新作まで、深堀金魚の進化の工程を見ることができるこの機会を是非、お見逃しなく!

【企画展】金魚絵師 深堀隆介展 平成しんちう屋

会場:平塚市美術館

開館時間:9:30 ~ 17:00( 入場は16:30 まで) 
※8/4(土)~ 8/19(日)は18:00 まで開館(入場は17:30 まで)

休館日:月曜日(ただし7/16 は開館)、7/17(火)

観覧料金:一般900(720) 円/高大生500(400) 円

企画展が100円引きになるインターネット割引こちら
※( ) 内は20 名以上の団体料金
※中学生以下、毎週土曜日の高校生は無料
※各種障がい者手帳をお持ちの方と付添1 名は無料
※65 歳以上で平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金(年齢・住所を確認できるものをご提示ください)
※親子割引(中学生以下の子とその親・祖父母)

ちなみに、本物の金魚が見たい!って方は、本記事執筆時点で日本橋にて絶賛開催中のアートアクアリウム展がおすすめですよ。▼は過去のエントリーです

goolegleu.hatenablog.com

 

平塚市美術館のユニコーン
▲全然関係ないですが、先日のエントリーで平塚市美術館のユニコーンのこと書きましたが、改めて確認してみたら横須賀美術館のものとは大きさが全然違いましたw

goolegleu.hatenablog.com

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!