アートが好きでごめんなさい

芸術祭、美術館、旅行、ときどきお祭り。気づいたらいつもアートがそばにいた。

【中之条ビエンナーレ2017⑤】中之条伊勢町と六合を繋ぐ中継地点「沢渡暮坂エリア」

【中之条ビエンナーレ2017①】中之条町の玄関口「中之条伊勢町エリア」
【中之条ビエンナーレ2017②】新会場として追加された「名久田エリア」
【中之条ビエンナーレ2017③】「日本で最も美しい村連合」に加盟する「伊参エリア」
【中之条ビエンナーレ2017④】ゆったりとした時間が流れる自然豊かな「六合(くに)エリア」
【中之条ビエンナーレ2017⑤】中之条伊勢町と六合を繋ぐ中継地点「沢渡暮坂エリア」
【中之条ビエンナーレ2017⑥】古くから湯治場として親しまれている温泉街「四万温泉エリア」

目次

よってがねぇ館

よってがねぇ館
▲よってがねぇ館は、六合の民芸品である「こんこんぞうり」の手づくり体験など、暮らしの中で活用されてきた六合地区の手仕事を体験できるふるさと活性化センターです。

あれ?六合?って思いましたが、ここの元々の住所は六合村なんですね。

こんこんぞうり
▲来館者のスリッパ代わりに「こんこんぞうり」が用意されていました

「山のめ組」/古川 葉子

「山のめ組」/古川 葉子

▲天井から吊るされているツルで編んだ作品は「山の目」、下の稲のワラで編んだ作品は「私の目、人の目」を表現しています

寝転がって鑑賞する
▲このようにして寝転がって鑑賞できます。ゴツゴツしていますがこれが何とも気持ちよくて眠ってしまいそうでした

山の目
▲「山の目」と目が合ってしまいました

奥の部屋の展示物

奥の部屋にも展示がありました。六合ふるさとまつりと関係のあるものなんですかね

六合ふるさとまつり

六合ふるさとまつりのうちわ

入山こね鉢を作る道具
▲創作体験教室で使われているものでしょうか、「入山こね鉢」を作る際に使用する道具もありました。入山こね鉢は、そばやうどんを作るのに欠かせないものだそうですよ

ベンガラ染料で染めた手ぬぐい
▲綺麗な染め物ですね。六合にあるチャツボミゴケ公園は昔、ベンガラの採取場があったらしく、ベンガラという真っ赤な粘り気のある貴重な土が採れたそうです。どうやらこの手ぬぐいは、ベンガラから染料を作って染めた物のようですね。そして高台にあるこの施設からの眺めは最高です。

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▲作者本人の書き置きがありました。この場所で作品を展示することになった経緯などが書かれていました。鑑賞者は、この便箋に作品の感想を書き残すことができます

十二みます

十二みますの元釣り堀
▲オートキャンプ場のある十二みます。釣り堀として使われていた池に作品が展示されていました

「Memories」/吉野 祥太郎

「Memories」/吉野 祥太郎

▲池の中に浮かぶ大きな木は、失われてしまった時を戻すかのように反時計回りに回転していました。

▲すぐ横にある元民宿「民宿十二みます」の中でも作品が展示されています

「鹿を殺める日」/中川 祥吾

「鹿を殺める日」/中川 祥吾

▲作者の中川さんが長野の大網という集落で鹿の解体に参加したときの映像が生々しく上映されていました。「命を頂く」ということはどういうことか、改めて考えさせられる作品です。

花楽の里

花楽の里

地元の物産品を扱ったショップ
▲「花楽の里」は、さまざまな体験ができる施設です。地元の物産品を扱うショップや飲食スペースもあります。

この場所も元々は六合村だったようです。ここから少し行ったところにある暮坂峠が、かつての六合村と中之条町の境だったようです。六合村って結構広かったんですね。

「束ねる」/齋江 貴志

「束ねる」/齋江 貴志

▲六合のスゲを使って制作されたオブジェが吊るされていました。六合の民芸品「こんこんぞうり」の材料であるスゲはそのままでは固いため、「ねどふみ」と呼ばれる温泉に数日浸けて柔らかくしているそうです

晩釣(ばんつり)せせらぎ公園

「野花は嘘を言った?」/半谷 学

「野花は嘘を言った?」/半谷 学

▲一見本物に見える白い花。天然の繊維素材を使用した紙状のものでできていました。ここからほど近い場所にある沢渡温泉街は、昭和20年に発生した「沢渡大火」によって、そのすべてが焼き尽くされてしまったそうです。何度も再生する生命力の強さが表現されている作品は、死者の新生を願ったものなのでしょうか。

上沢渡川
▲すぐ側を流れる上沢渡川。ここにも長閑な景色が広がっています

沢渡ギャラリー

「日常の線描回路」/アーサー・ファン

「日常の線描回路」/アーサー・ファン

細胞のような線描
▲通勤や空いた時間に描いたという線描は、作者自身の気分や周りの環境の影響が示されているそうです。鑑賞者はその線描回路の中を彷徨うことになります

「牧水の旅」/齋木 三男

「牧水の旅」/齋木 三男

▲暮坂峠にあった「若山牧水」の銅像が2016年に盗まれました。県庁前の「ぐんまちゃん」の石像も手掛けた齋木さんの手によって2017年に1年3ヶ月ぶりに再建されましたが、ここ沢渡ギャラリーの地下にももう一人の牧水がひっそりと佇んでいました。

沢渡民家

「HOME」/ガイ・ウィグモア

「HOME」/ガイ・ウィグモア

▲どこか懐かしいおばあちゃん家のような古民家の中で、まさか最先端のVR(ヴァーチャルリアリティ)を体験することになるとは意外でした

ipadでも見ることが出来た
▲VRの中では殺風景な現実世界とは正反対の賑やかな世界が広がっていました。VRの機材は一台しかありませんでしたが、ipadでも見ることが出来ました。

階段の家

階段の家

「夜明けを待つ」/小林 ナオコ

「夜明けを待つ」/小林 ナオコ

▲もう何年も人が住んでいなそうな民家ですが、家の中は侵食した植物が生活していました。

薪の家

「鹿の聲」/長谷部 勇人

「鹿の聲」/長谷部 勇人

▲猟師さんから入手したという鹿の角で作った弦楽器のようです。その聲(こえ)は、何を訴えていたのでしょうか

沢渡別邸

沢渡別邸

沢渡別邸の居間

いたるところに鏡が置かれていますが、そこにはかつて映し出されたかもしれない人々や物の記憶が保存されていました。

見えてしまったかもしれない
▲この日は天気も悪く薄暗かったので、さらに不気味さが倍増していました

寺社原田圃(じしゃばらたんぼ)

「風と土の接点」/鉾井 喬

「風と土の接点」/鉾井 喬

▲残念ながらこの日はあいにくの天気で、作品はビニールハウスに格納された状態となっていました。しかし、作品が休んでいる貴重な姿を見ることができました

寺社原田圃
▲この中之条の自然豊かな風景に展示された作品も見てみたかったです

説明してくれた地元の方
▲過去に養蚕をやっていたというおじ様が、当時の貴重なお話を聞かせてくれました。自分の話だけでなく、ここの作品の作者である鉾井さんが静岡県で開催の「茶エンナーレ」にも出展されているということも教えてくれました。

www.chaennale.jp

実はこのおじ様、先程の十二みますで作品を鑑賞されていましたw。
あらためて、この中之条ビエンナーレが地域住民とアーティストがひとつになった芸術祭であることを感じられてとても感動しました。

諏訪神社

諏訪神社の鳥居

「Codice NB」/Makoto

「Codice NB」/Makoto

▲長年、北イタリアを中心にヨーロッパで活動してきたというインスタレーション作家が、極めて日本的な空間である神社にて作品を展示していました。人間の抜け殻のような作品が、この場所にぴったりマッチしていて良かったです

旧沢田小学校

旧沢田小学校
▲2015年3月に中之条小学校に統合され、閉校となった旧沢田小学校。開校からわずか10年で閉校となったようです。

「はじまりの合図」/加藤 崇

「はじまりの合図」/加藤 崇

作者が子供の頃憧れたもの
▲作者が子供の頃に憧れたという数々の品。ついに自分のものにできた時どれだけ嬉しかったのかが写真から伝わってきました。

「The Mediterranean landscape No.5」/田口 一枝

「The Mediterranean landscape No.5」/田口 一枝

キラキラ光る
▲光の反射が生み出す模様は何とも言えない美しさがあります。

「Movement Dialy」/masumi saito

「Movement Dialy」/masumi saito

▲人の日常の変化を身体表現で記録するプロジェクトなんだそう。人の日常は、どんなに作り込まれた映画よりも複雑な美しさがあるといいます。その美しさを表現するためか、映像は演出や取り直しをせずに作られたようです。

「箱の中の暮らし」/マルゲリータ・マルキオニ

「箱の中の暮らし」/マルゲリータ・マルキオニ

空き缶をホッチキスで組み立てたもの
▲近づいて見てみると、空き缶をホチキスで留めて組み立てられていました。実はこの作品、細部ではなく全体として見る作品なんだそうです。ビジネスマンに必要だとされる俯瞰力(ふかんりょく)=全体を見渡す広い視野ってやつがまだまだ足りないようです

「こもれび、こだま、風の色」/花輪 奈穂

「こもれび、こだま、風の色」/花輪 奈穂

▲フィルムに写った光景はどれも、誰かの「目」というレンズを通ったあと長い間まぶたの奥にしまわれてきたものでしょうか。これまで見てきた中之条の美しい景色もきっと私のまぶたの奥にしまわれているのでしょう。

「ぼやけていく記憶」/本郷 芳哉

「ぼやけていく記憶」/本郷 芳哉

今回金属の中でもあえて鉄を使ったのは、自分たちの文明や生きているということの象徴のような存在だと思ったからだそうです

金属と木

鉄は「人間」、木は「自然」のシンボルだと作者はいいます。作者には、自然と人間の関係性がこのように見えているのかもしれませんね。

重量感と存在感
▲人間=文明(鉄)は自然(木)を滅ぼしてしまうのでしょうか。
作者は「人間が生きることとは何か」ということを問いかけながら制作に打ち込んだそうです

「うんこは心」/西澤 利高

「うんこは心」/西澤 利高

▲「うんこは心」・・・なんとも衝撃的な作品タイトルですが、小学校という場所で見るとそんな驚くことでもないのかもしれません。小学生は「うんこ」という言葉が好きですからね。しかし小学生が「うんこは心」と言ったのなら、それはそれで衝撃的ですが

積み上げられた机

穴だらけの天板部分
▲穴の周りの模様が綺麗でした

▼2階では国際交流企画展として、中国とイスラエルの作家が展示を行っていました。

中国企画展に参加する作家は美術大学の教授、講師、キュレーター、美術評論家で、中国をはじめ世界中で活躍されている作家さんたちです。

「笑顔を絶やさず2013-2017」/フォン・フォン+ル・ビャウビャウ

「笑顔を絶やさず2013-2017」/フォン・フォン+ル・ビャウビャウ

次第に引きつっていく笑顔
▲静止画かと思いましたが動画でした。笑顔を保とうとしますが、だんだんと顔が硬直しひきつり始める過程が映し出されていました。

「私達の抱き合い方」/グオ・チェン

「私達の抱き合い方」/グオ・チェン

「合理性は正しいか?」/ヤン・シャオマン

「合理性は正しいか?」/ヤン・シャオマン

▲色々な化学式が羅列されていますが、そのほとんどが日常生活や食品産業に関係しているそうです。

▼イスラエルとパレスチナのアーティストによる企画展では、様々なメディアを使って白と黒の間を行き交い、創造と破壊の狭間にある緊張を表すことを試みたそうです

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「Fragments」/タール・アミタイ-ラヴィ

▲裁縫糸や重曹、ナイロンの紐などといった材料を使い、脆くて壊れやすい世界が表現されていました。

「黒い太陽」/マヤ・コーヘン・レヴィ

「黒い太陽」/マヤ・コーヘン・レヴィ

半分焼け焦げたマッチ▲半分焼け焦げたマッチがたくさん立てられていました。

戦闘機

「イスラエルの景色」/ファリド・アブ・シャクラ

戦闘機によって破壊される様

突き刺された紙
▲優しい色合いで表された平穏な景色が、戦闘機によって破壊される様は見ていて辛いものがありますが、彼は紙を突き刺すことでそこに隠された痛みを表現しています

 

ということで、沢渡暮坂エリア終了です!

 

つづく